映画「私は貝になりたい」を観て

 先日、仲居正広主演の「私は貝になりたい」を観た。以前フランキー堺主演の映画を観ていたのでストーリーは承知していたが、改めて戦争の悲劇を見せ付けられ、心が傷む思いで劇場を後にした。
 戦争の悲劇という言葉だけでは語りつくせない出来事、軍隊と関係なく普通に暮らしていた男が、ある日突然戦争に加担せざるを得なくなった時代、そしてその軍隊教育によって生まれた悲劇、果たして今の若者に理解できるだろうか。
 ましてや、戦時下の日本とアメリカの価値観の違い、特に捕虜に対する考え方の違いは、戦前・戦中派の者には理解できるが、娯楽番組で埋め尽くされた時代育ちの若者達には、到底理解できないことであろう。

 しかし、過去日本が犯した過ち、そのために多くの尊い人の命が失われた事実を真正面から見つめ、2度と同じような悲劇を繰り返さないためにもこの映画の役割は大きいと思うので、是非若い人たちにも観てほしい映画である。
 
 もう一つ感じたことは、画面に展開される背景の美しさである。福澤監督が特にこだわったのは、「貝と海、美しい日本の風景・四季」だそうである。
 そのため、舞台の高知県の漁港とは関係なく、海岸は隠岐の国賀海岸、雪の里山は奥出雲を選んだそうである。海岸線にの美しさ、深い雪国、四季の移ろいを見事に演出しているが、その美しさがドラマの悲劇性を際立たせていたように思う。
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by matutaka31 | 2009-01-21 11:55 | 思いのまま | Trackback | Comments(0)
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