今年2月、不安と期待をいだきながら、じゃが芋「インカのめざめ」を初めて作った。
「インカのめざめに初挑戦」
その「インカのめざめ」を、先日少し掘り起してみた。
同じ条件で植えた「キタアカリ」と「ダンシャク」も一緒に夫々3株づつ。
結果は予想どおり、やはり収量は少なかった。
3株の収穫量は、一番多かったのがキタアカリ4,2kg、次いでダンシャク3,4kg、そしてインカのめざめ2,1kgで、なんとインカのめざめはキタアカリの半分しか採れなかった。
インカのめざめ これで3株分、一株当たり約700g
インカのめざめは、味は糖度が高く美味しいが収量が少ないので作る人が少なく、市場への出回りも少ない・・・と、作る前から得ていた情報どおりの結果を自ら体験する結果となった。
一株当たりの収量が少ないことは、一定面積当たり植える株数も同じだから、当然総収量は少なくなる。おおまけに種芋代は高いときたら、経済性を考えると、作りたくないのは至極当然のこと。
つまりこの「インカのめざめ」は、スーパー等で売られる一般的な食材としての条件には当てはまらない品種のように思われてきた。
スーパー等で見かけることは稀、という状況も納得。
「価格は高くても良い。一味変った美味しいじゃが芋を食べたい!・・・」、そうゆう人向けに作られる特産品的存在のようだ。
色は鮮やかな黄色、栗のような独特な風味・甘味・食感が特徴的で、糖度は一般的に5度程度なのに対して、インカのめざめは6~8度と高く、甘みと濃厚な味わいが特徴と、もっぱらの評価。
ところが初めて作ってみて、 美味しいが生産量が少ない・・・、この常識を覆す可能性を、私は見出した。
その鍵は、種芋の大きさにある。
じゃが芋を作るには種芋を植える。
その種芋の大きささが、後の茎葉の生育に大きな影響を及ぼすことは、じゃが芋を作ったことのある人は経験済みのことだろう。
種芋がある程度大きいと、それから伸びる茎葉は大きく勢いよく育つ。逆に小さい種芋から出る茎葉は細くて弱々しい。その根茎の一部が変形してじゃが芋に成るのだから、種芋の大きさが収量を左右することは想像出来る。
インカのめざめの種芋を買ったとき、その小さい(30~40g)のに驚いた。
キタアカリやダンシャクに比べて1/2~1/3と極端に小さかった。これで良いのか?と思うほど。
案の定出てきた芽は小さく、その後の生育も、キタアカリやダンシャクに比べて弱々しかった。
型のいいのは食用に高値で出荷され、種芋は小さな屑芋みたいな小さなものになってしまうのだろう。
このような小さな種芋で作る間は、収量が増えない負の連鎖になってしまうに違いない。 これから植える種芋は、今年収穫したものの中からある程度大きいものを保存して種芋にしてみよう。
大きい種芋を植えることで、他の品種の収量に近づくことが出来るのではないかと期待が膨らむ。