福岡市博物舘で開催中の
「ボルドー展」を、先日仲間と観に行った。
世界史を勉強していない私にとって、ボルドーで思いつくのはフランス南西部の大西洋に面した都市でフランスワインで有名な都市の名前くらいのもの。
展示内容に特別の興味があったわけではないが、強いて言えば、この際知らないものは何でも見ておこうという好奇心からといったのが正直なところ。
でも特別これと言って観たいものはなかったとは言え、「ライオン狩り」の絵に惹かれたのは事実。
この展示会に行って改めてボルドーについての認識を新たにしただけでなく、当時の文明を垣間見ることが出来、私にとってはカルチャーショックみたいなものであった。
そのボルドーについて、ちょっと触れておきたい。パンフレットから引用(要約)
古代ローマ以来の伝統を誇るワインの生産と海洋貿易がもたらした富を背景に、洗練された独自の都市文化を育んできたフランス南西の港町ボルドー。
大西洋のほど近く、ガロンヌ河の流れに沿って三日月のかたちに発展したことから「月の港」とも呼ばれたこの町は、18世紀に繁栄を極め、パリに100年先立って都市整備が進められ、壮麗な古典主義・新古典主義の建築が立ちならぶ景観美をつくり上げました。
展示品を通じ当時の文明の一端に触れることが出来たのは、私ににとって貴重なものであった。
その中で、<焼け跡から甦った大作「ライオン狩り」についての印象に触れておこう。
ドラクロワ奇跡の大作「ライオン狩り」
この大作が今回の特別展の目玉だが、この作品に知識のない私にとっては、題と画かれた内容が一致しない。
どう見てもライオン狩りとは思えない。むしろライオンに襲われた兵士にしか見えない。
どの角度から見直しても、その印象は同じ。
焼け跡から甦ったとは言え、初めて見る者にとって、焼けた部分(絵の上部)を想像することは出来ないし、想像することすら思いつかない。
納得がいかないまま過ぎ去ろうとして反対側を見た途端、火災に遭う前の絵を復元した模写が目に付いた。
ライオン狩り模写(オディロン・ルドン作)
この複写に画かれている二人の兵士の姿を観て初めて、「ライオン狩り」を納得。
複写は大きさも本物に比べ小さく、目立たない位置に展示されている。
本物と複写を意識しての展示だと思うが、多くの観客はこの複写を見過ごし、本物の絵の迫力を実感しないまま帰ってしまうのではないかと、気になった一幕である。
いずれにしても、これまで知らなかった世界を垣間見ることが出来て楽しかったし、これからも可能な限り、知らないことを知る楽しさ・喜びを求めていきたいものだ。