被爆体験を語り継ぐ「語り部」の活動を始めて、今年で3年目。
これまで2年間の経験を活かしながら、自分が子供の頃経験したことを、経験した者でなければ話せない言葉や表情で、平和のありがたさ・尊さをわかってもらえるよう語り続けている。
今年は、プロジェクターを使って映像を見てもらいながら話を進める方式を採り入れた結果、これまでより理解を深めることが出来たのではないかと思っている。
真剣に聞き入る小学生
今年はこれまで以上に、熱が入る。
終戦・被爆70年の節目だから、というだけではない。
言うまでもなく安保法案に直面しているから。
自分が子供の頃経験した、あの悲惨な生活へ逆戻りしそうな道筋、しかも一歩踏み出すと後戻りが出来ない危険な道筋が、そしてその先には自分たちが経験してきたよりもっとむごい世の中が見えるから。
私は話をしながら、目の前で私の話にじっと聞き入る子供達の将来を考えてしまう。
「この子らに私達と同じような経験をさせてはいけない!否、して欲しくない!」との思いが募る。
そのため今の平和について、「資源のない日本の今の平和は、砂の上に築かれたガラスのお城だと思っていること。一歩誤るとその城はあっという間に壊れてしまう危うさがある」と強調し、「今の平和を守り、これから先の平和は、皆さんが作るのです」と結ぶことにしている。
今年は初めて、大学生と院生を相手に話をする機会に恵まれた。
某大学で、臨床心理学を学ぶ学生さん達を相手に私の経験を話した後、被爆がその後の人生にどのような影響を及ぼしたか、について意見交換をする企画であった。
心理学を専攻する学生だけに、人の話を聞き取ろうとする真摯な姿勢に感心させられると同時に、私の経験を自分の人生に活かしたいという気持が私にも伝わってきた。
円形の席で、お互い向き合って、和やかに話し合う
つい私も日頃話さない心のうちを話す気になり、90分の予定が120分近くに。
私自身にとって、生き甲斐を感じる一時であり、心に残る体験をさせていただいた。
学校は夏休みに入った。
証言活動も一休み。
9月から再開となるが、体調を整え、その時に備えようと思っている。