蝉と空蝉

 テレビの音もさえぎるほどのセミの大合唱が始まった。

 セミの鳴き声を聞けば、蝉が生まれて死ぬまでのわずかな時間をはかなんで、精いっぱいその生涯を謳歌しているような物寂しさをイメージしてしまうが、実は鳴いているのではなく、オス蝉が自分の存在をメス蝉に知らせるためのアピールにほかならず、精力的に演出している恋の舞台であることはよく知られたこと。

 もう1週間ほども前のこと、庭の八朔の木の枝の下に1㎝くらいの穴が方々に見えるようになった。そして夕闇迫る頃ふと目を木の幹に向けると、なんと蝉の幼虫がそろりそろりと木をよじ登っている。

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木をよじ登る蝉の幼虫            幼虫が抜け出た穴
 
 目を挙げると、枝先には無数の蝉の抜けがらが見える。「空蝉」である。

「空蝉」と言えば、源氏物語を連想してしまう。101.png
恋心をいだいた光源氏がある夜、空蝉の寝所に忍び寄るがそれを察知した空蝉は姿を消してしまう。詳しいことはもう忘れてしまったが、平安時代の恋物語に関心を持たれた方も多いことだろう。

 それはさておき、今日の主役は蝉の抜けがら「空蝉」である。
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4匹つながった蝉の抜けがら

 1匹目のセミは3匹も支えなくてはならず、さぞ重たかったろうな~、とつい蝉の気持ちをおもんぱかってみたくなった。いやいやさぞ迷惑なことだったろうな~、とつまらない詮索をしてしまった。
 そんな馬鹿々々しいことを、のんびり考えたり観察することは、今までなかったこと。おまけにセミの生涯について調べてみると、恥ずかしい話だが、知らないことを改めて知らされることに。

話を戻そう。
 木の枝にぶら下がっている「空蝉」に気がつき、「もう梅雨明け間近を思わせるセミの羽化が始まっているんだ」、そう思いながらも、翌朝になってもセミの鳴き声がしない。ふと疑問が湧いた。もうたくさん羽化しているのに、何故鳴き声がしない?

 これまで一度もこんなことを考えたことはなかったと言うより、むしろ気がつかなかった。
 去年までは蝉の鳴き声を聞くと、「あ~暑い夏が始まった」と思う程度のことで、蝉の生態を観察したこともなく、知ろうとも思わなかった。だから蝉は羽化すると翌日からオスがメスを求めて、鳴き始めるものとばかり思い込んでいた

 ところが調べてみると、あにはからんや長い長~い実に想像以上の不思議な生態があろうとは、改めて驚いてしまった。そしてまた一つ疑問が・・・、蝉の幼虫はなんと呼ぶのだろうか? どうやら共通の呼び名はなく、地方によって呼び名が異なるらしい!ではご当地の呼び名はなんというのだろうか?


 蝉は晴れた日の夕方、羽化するために地上に出て木に登る。

 外敵に襲われる危険があるため、日没を待って木に登って羽化を始め、羽化した後に抜けがらを残す。空蝉である。

羽化した蝉は、すぐに鳴くことはできず数日間は静かにして過ごし、その後はご存じのようにこれでもかというくらい精一杯鳴き続ける、いやアピールし続ける。そして恋が成就したのち生涯を閉じる。なんという短いながらも華々しい生涯であることよ。
 さて人の世は、???
 

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by matutaka31 | 2017-07-17 15:54 | 思いのまま | Trackback | Comments(12)
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Commented by tenpai8 at 2017-07-18 14:58 x
ナールホド! 小学生の頃、夜提灯を持って、学校の大榎木の根周りにアナセミを捕りによく行きました。
熊本では、穴蝉と呼んでいました。籠で変態・羽化を観察したことも度々。羽が硬くなり飛べるまで、相当時間が掛かったようです。
今夜アマナツの根元を懐中電灯で調べて楽しみ、若返りましょうか。多謝!
Commented by matutaka31 at 2017-07-18 21:24
tenpai8さんへ
もうすっかり忘れていた蝉の観察、たまには童心に帰ってみるのも
悪くないです。
つい夢中になり、蚊に刺されてひどい目に遭いました。
蚊取り線香をご用意ください。
Commented by hibohan at 2017-07-19 07:34 x
最近セミが見られません鳴き声も少なくなったよう
子供の頃庭先の穴に水を入れ幼虫見つけたもの
孵化なんてしばらく見てません
夏休みの自由研究で昆虫採集したものですが
Commented by matutaka31 at 2017-07-19 08:59
hibohanさんへ
気象条件が変わっていますので、蝉の生態にも変化が起きているのでしょうか。
最近、子供たちが網で蝉を獲る光景を、あまり見かけなくなりました。
子供の遊びも変わっているようですね。
Commented by yyyanoy at 2017-07-19 19:43
知らないことばかりせみの抜け殻は見ますが穴までは・・。
よく見てみます。
鳴く時期はだんだん短くなってきたようにかんじます。
生態系がかわってきたんですね。
Commented by matutaka31 at 2017-07-19 21:24
yyyanoy さんへ
今年は、いつもより鳴き方がおとなしいようです。
気候の変化が、微妙に影響しているのでしょうか。
自然の変化には人間より動植物が、敏感に反応するようですね。
Commented by dojyou38 at 2017-07-20 09:34
4つ繋がったウツセミ、珍しい初めて見せてもらいました。
源氏物語の空蝉、詳しいことは忘れましたが
光源氏が夜這いをかけたら艶やかな十二単の何枚か(抜け殻)を残していなくなっていた、そんなことを覚えています。
Commented by taminamikawa1 at 2017-07-20 12:01
ワシワシと鳴く蝉の声がうっとうしいとか、やかましいと言う人がたまにいますが、私は
蝉の鳴き声は夏の風物詩と楽しんでいます。
Commented by matutaka31 at 2017-07-20 12:02
dojyou38 さんへ
蝉の抜け殻そのものは単なる廃棄物ですが、空蝉と言えば
恋物語を連想させてしまう。
抜けがらを残して羽化した蝉は、必死で相手を探す・・・。
関係ないけど、何処かが繋がっている。面白いですね。
Commented by matutaka31 at 2017-07-20 13:10
taminamikawa1 さんへ
ワシワシ鳴くときはうるさいと思いますが、鳴かないと何故?と
気になります。
それほど私たちの生活に密着した、身近な存在になっているようですね。
Commented by tetsu807-2 at 2017-07-21 14:34
今年も鳴き出したな~と思い、たまに木を見上げても
なかなか見つけられない。その点子供はさすがに目ざとい
昆虫網で捕まえて得意顔になる。上手いもんだな~と一応
褒めるのだが、内心では、一週間の命なのに思いっきり
鳴かしてやりたいな~なんて思ったりもする。
Commented by matutaka31 at 2017-07-21 22:53
tetsu807-2さんへ
6年も7年も土の中で過ごし、やっとの思いで羽化した蝉ですから、
自由に思いっきり鳴かせてあげたいですね。
年をとるとだんだん仏心が出てきます。
それにしても今年は、セミの鳴き声が少ないようです。


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