約200坪ばかりの土地を借りて耕している家庭菜園で、今年は例年になく天候不順に振り回されている。
もう10年前になるが野菜つくり講習会で
、“夏野菜は4月末~5月始めに植えるのがよい”の一言が頭の隅に残っていた。
そして近くに住む農家出身のお年寄りから聞かされる
“ジャガイモの植え付けや野菜の種蒔は3月の彼岸の頃が目安”も記憶に新しい。
今年ほど、このような先人の言い伝えの重みを実感したしたことはない。
今や園芸店では2月にはジャガイモの種芋が、3月になると野菜類の苗が所狭しと並ぶ。
農業の経験がない素人家庭菜園家は、遅れをとってはいけないと、我先にと植えてしまう。
ところが早く芽が出たジャガイモの芽は4月の晩霜であっけなく枯れて見る影もなく、ナスやキュウリ等も根の活着が悪く、4月下旬になって植え直す菜園家の嘆きを見たり聞いたりする。
気候の変動に左右されないのはハウス園芸であって、露地栽培農業は気候の変動を見ておかないと取り返しがつかない被害にあってしまう。
このような現象を見聞きするにつけ、冒頭の長年の経験から生まれた言い伝えは、農家の苦労がしのばれ一層重みを増す。
我が菜園では、4月中旬に植えたキュウリ、ピーマン、ナスは根の活着が良くなく元気がないが、一方先人の言い伝えを守ったジャガイモは、晩霜の被害もなく、すくすくと育っている。