3年前の大腸の内視鏡検査で1個のポリープが見つかっていた。
昨年末の検査で新たに1個見つかり、急ぐことはないがなるべく早めに切除したほうがいいとの意見があったので、紹介してくれたかかりつけの内科医と相談のうえ、今回手術を申し出て摘出手術を受けることになった。
極簡単なポリープ摘出は、外来検査で手術を済ませるほど技術は進歩しているが、ポリープの種類や形状によって手術方法が異なるので、術後の安全のためにも一般的には入院治療になるようだ。
私は、入院経験と言えば高校時代盲腸で入院しただけで、もう60年もの間入院したことがないので、入院初体験と同じようなものである。
入院期間は手術の経過次第だが、“場合によっては3~4日は必要になると思います”とのことで、今まで経験したことのない入院準備をして、入院前夜は予め渡された下剤を飲み、当日に備えた。
入院当日10時過ぎから2リットルの腸内洗浄水を2時間かけて飲み、腸内の便を残らず排出する。
その後も便の状況を15分毎に確認しながら、完全に水溶性になったのを看護師が確認した後、15時過ぎに手術が始まった。
軽い麻酔注射のあと、内視鏡の挿入が始まり、内視鏡が大腸の奥の方へどんどん挿入されて行く様子がモニターに映し出される。
もう何度も見る自分の腸内であるが、今回はポリープの摘出がどんな風に為されるのか興味が募る。
内視鏡が腸の一番奥まで到達すると、“これから手術にうつります”と先生の声。
1番目のポリープは、なかなか発見し辛い場所だったようで、昨年の検査結果をパソコンで確認しながら、入念に探し当てるている様子が伺える。
そして画面に1個のポリープが浮かび上がる。
先生は、画面を喰いいるように見つめ内視鏡を操り、内視鏡の管を通して器具を入れ替え取替えしながらてきぱきと操作を進める。
ポリープは平坦な形のため、液を注入して膨らませて切除する作業がよく見える。
先生と看護師の呼吸の合った操作は、患者である私の気持ちを和らげてくれる。
傷口を2本のクリップで止血して、無事切除完了!
見ている私も、緊張がほぐれる瞬間だ。
大腸粘膜には神経がないので、痛みは全く感じない!
次に、S状結腸にあるポリープの切除の様子がモニターに映し出される。
終了後先生に写真を頂いたので、その写真を基に切除の様子を説明しよう。
S状結腸にある突出したポリープ
大きさ12mm
切除の瞬間
切除の跡
傷口がやや大きいので、4本のクリップで止血して完了。
以上は、終始自分の目で手術の状況を観察した記録であるが、医師と看護師の動きも一部始終よく分る上病状と手術内容が手にとるように見えるので、自分の体内ではないような錯覚を覚える。
術後の感想は、腸の内容が自分の目で確認できるうえ、手術の一部始終が全て明らかになるので、これからの大腸の状態を考えるうえで大変参考になった。
大腸内の粘膜は複雑に波打っているため、大腸の検査にはどうしても死角ができると言われる意味がよくわかるし、そのうえ大腸粘膜には神経がないので痛みを感じないことを考えると、自覚症状はなくても定期的な検査が必要になることも合わせて認識させられた。
その後の経過観察で出血もなく、特に異状がなかったので、2日間の入院で退院することができ、これまでなんとなく心の隅で重石になっていたものが取り除かれたようで、生検結果が残されているがひとまず安心。