先日何気なくテレビのユースを見ていたところ、土を使わないでトマトを生産するデモンストレーションが映し出され、「アグロ・イノベーション」なるものが開催中だと報じていた。
家庭菜園には縁のないことだが、最近の大企業の農業進出や野菜の工場生産の様子を見たくなって、仲間を誘って市内の会場に出かけた。
次の予定があってゆっくり見ることは出来なかったが、最近の土を使わない農業の工場生産化が想像以上に進んでいる様子を目の当たりすることになった。
最近では規格化された野菜のハウス栽培が急速に進んでいることは承知していたが、土壌栽培の概念を180度ひっくり返すような野菜の生産方式に、いささか驚かされてしまった。
試食してみたが、味はトマトそのもので、市販のトマトと変りない
土を全く使わないで、肥料は計算しつくされた液肥を施し、全ての管理をコンピュータを使ってシステム化された方式で行う、まさに工場生産そのものだ。
会場内は、機具・機械業者とコンピュータ業者のコラボそのもので、来ている人たちもスーツ姿という、農業機械・機具の展示会場とは雰囲気がまるで違っていた。
規格が揃った野菜が安定的に供給・販売できる点では、大きなメリットになるだろう。
しかしながら、太陽の下、肥沃な土壌に育まれた自然の恵みで生き長らえてきた人間にとって、健康面での影響はないのだろうか。 素人なるが故、気になる。
それだけではない。
これからの日本の農村はどうなるのだろうか。
そのような生産システムを取り入れることが出来る、資力のある農家や企業だけが生き残れる農業に変っていくのだろうかと、ふと考え込んでしまった。
ともあれ我が家庭菜園では、土壌栽培のトマトが健在である。
自然の中で、太陽の下、すくすく育ったトマトは、エネルギッシュで逞しさが違うと思うのだが、独りよがりだろうか。
中玉品種の「フルーツトマト」 大玉品種の「桃太郎」
味で勝負か、栄養成分で勝負か、自然の中で土壌で育てる野菜作りの正念場なのだろうか。