毎週火曜日は、NHK福岡文化センターでの「楊名時 八段錦・健康太極拳」教室。 余程のことがない限り、欠席することはない。
でもこの日は、腰の違和感が続いていたので出かける直前まで、休もうかな~と迷った。
実はその数日前から、忘れかけていた持病の腰痛再発か?と思わせる腰の違和感が治らず、その朝も片足立ちで靴下が履けない状態だった。(片足立ちで靴下を履くのが、私の健康のバロメータの一つ)、
無理をすると、やっと治っている腰痛の再発に繋がるかも・・・。
でも太極拳で体の筋肉をほぐしてやると治るかもしれないという期待が頭をよぎり、無理をしないで自分の体調に合わせた練習をすればいいのだから、と思い直して出かけることにした。
教室での練習は、いつも
「立禅」から始まる。
「立禅」は太極拳にとって最も基本的で尚且つ大切な動作だから、先生は時々「立禅」に時間をかけて、その効果を体感させようと、念入りな指導をされる日がある。
その日の「立禅」で私は、目から鱗が落ちる程の効果と言うより凄さを味わった。 太極拳をされる方は「立禅」の意味をご存じだが、太極拳と縁のない人は、「立禅」とは何?」「座禅に対する立禅」と思われる節もありそうだが、その違いはさておき、健康太極拳教室では、
「立禅」は自然立ちと言われる「立ち方の訓練」で、練習開始に当たって必ず行われる基本動作である。
その日も先生が諭すように説明される、夫々立ち方のチェックポイントを聞きながら、自分が立っている状態を夫々神経を集中させながら、足・腰・丹田・腕・頭の先(百会)等に至るまで自分の立ち方を夫々の頭の中でチェックして、自分の立ち方を模索しながら「立禅」を続ける。
立禅の時のイメージ図、S字状に曲がった背骨を延ばす姿勢
(右図は立禅で背骨と骨盤の状態が変化)健康太極拳規範教程より引用 傍目にはじっと立っているように見える動きのない動作だが、実は体内では微妙に動いている。それが「立禅」なのだ。
全員が己の立ち方に集中しているので、教室全体がしーんと静まり返り、物音ひとつしない、周りの人の息遣いも感じない。
静かな雰囲気が漲る。
5分~10分と研ぎ澄まされた静かな時が流れる。
みんなが同じ目的に意識を集中させている、そこには自分一人で練習するときには味わえない雰囲気がある。 そんな一時が私は好きで教室に通っている。
続けるうちに何となく体がほぐれてくる感じがする。きついとは思わない。
気が付くと、その直前までの腰の違和感がスーッと消えて、腰のあたりに心地よさを感じるようになっていた。腰が軽く感じる。
「これが太極拳の「立禅」効果か!」と、まさに目から鱗が落ちた瞬間だった。
日ごろ太極拳が健康に良いことは、折に触れ実感していたが、改めてその効果にびっくり!!
その後の練習は、いつもと変わらない体調で練習を続けることが出来、全ての練習が終わった後も、いつもと同じように爽快な気分を味わうことが出来た。
私にはこの「立禅」で、雲をつかむような、まだ見えない世界がある。
「気を丹田に集中させる」ということ、その世界はどうやら、私には正直言って及びもつかぬ奥の深い所にありそうに思える。
でも私が太極拳とかかわりを持つのは、自分の健康年齢を出来るだけ長く保ち人生を楽しく過ごせることが望みだから、それを追い求める楽しさがあっても良いのだろう。
お・わ・り