当地では稲刈りもほぼ終わり、田んぼに稲の切り株の列がきれいな平行線を描いている。切り株の間には、コンバインで短く切り刻まれた稲わらが雨にぬれ、やがて朽ち果てて土に帰っていく様子が伺える。
私たちが子供の頃、刈り取った稲は掛け干しされ、脱穀の後その稲わらはいろんな用途に利用されていたが、今ではコンバインで短く切り刻まれるため、長い稲わらを利用することはほとんどなくなってしまった。
そんな事情があって、私たち家庭菜園を楽しむ者にとってもこの稲わらが手に入らなくなったことは悩みの種になっている。特に夏作野菜(スイカ、ウリ、かぼちゃ、ナス、キュウリ等々)を栽培するとき、株間に敷き詰め、土壌の乾燥を防ぎ、雑草が生えないようにすると同時に、スイカ、ウリ、かぼちゃの果実が直接土に触れないよう保護する役割を果たすので、なんとかして手に入れたいものだと常に考えていたが叶わず、周りの雑草を刈り取って干し草にして急場をしのいでいた。
乾燥した稲わらを束ねる作業 そんなところへ、ご近所の先輩菜園家から、稲わらを分けてやるとの嬉しい知らせが届いた。
その方は稲作農家との話し合いで、稲わらを一定量確保されているとのこと。藁をもつかむ思いで、来年使う量としては十分の稲わらを分けてもらった。
日ごろ何かと面倒を見てもらっている先輩菜園家のお気持は、本当にありがたいことで感謝・感激!!。
来年の夏野菜作りへの夢が膨らむ。
束ね終わった稲わら。 この稲わらを大切に保管して、来年春敷き藁として利用する 私が知る稲わらは、軽くて弾力があり保湿性、吸水性、通気性に優れているため生活の中でいろんなところで利用されていた。しめ縄、雨除けの箕や笠、草鞋(わらじ)や草履(ぞうり)、縄、むしろ、畳、藁ぶき屋根、土壁、米俵、納豆等食品の入れ物、畜産農家の牛の餌、畜舎の敷き藁、野菜畑の敷き藁等々。
時代の変化とは言え、ぬくもりのある稲わらに支えられた生活、それをうまく利用した先人の知恵が何故か懐かしく感じられてならない。
私は今、その稲藁の恩恵にあずかろうとしている。人の温もりと稲わらの温もりが私の生活に伝わるようで、何か心が温まる思いがこみ上げてくる。不思議なえにしを感じてしまう。
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