花卉作りを楽しむ一方、好物のミカンの木を出来るだけたくさん植え、春には純白のミカンの花と香りを楽しみ、秋から冬にかけミカンが黄色に色付く光景を居間から眺め、食べたくなったら目の前の美味しいミカンを好きなように採って食べる。
この地に終の棲家を建てた時、狭い庭だけど、私が思い浮かべたイメージがこれだった。
居間からの今の眺め
(右手前は収穫が終わった温州ミカン、右奥は八朔、左はザボンと柚子) かれこれ20年ばかり前そんな夢を描きながら、好きな温州ミカン、八朔、キンカン、そして香辛料としての柚子、カボスをそれぞれ1本づつ合わせての5本の柑橘苗を植えた。外にも梅や柊木犀・クロガネモチなど植えたい木があったので、これ以上増やすわけにはいかなかった。
ちょうどそのころ通っていた朝日カルチャーセンターの園芸講座で、芽接ぎ(クローン技術の応用)を教わった。
これだ!植える本数は増やせないが、収穫する品種は増やせる。
そう思って早速、柚子の木に「ザボン」を、そしてカボスの木に「日向夏」と「ザボン」を芽接ぎした。
ザボンを増やしたのは、食べる楽しみより、あの大きい実がぶら下がる光景がなんとも魅力的だったから。そして柚子とカボスの木を選んだのは、柚子とカボスは自家消費だけでたくさん生らせる必要はないので、少量多品種にしよう」・・・という発想から。
柚子の木に接いだ「ザボン」はみるみる大きくなり、柚子の枝に覆いかぶさるように枝だけが大きく茂るばかりで、実が生らない年が続いた。
一方台木の柚子の枝は、旺盛なザボンの枝に隠れて日当たりが悪くなったためか、いつまでも実が生らない。 柚子にしてみれば「庇を貸して母屋を取られる」の心境だろう、と可哀そうになってきた。
ザボンも柚子も生らない。二兎どころか一兎も得ない、諺を地で行くような結果に。
これではだめだと気付いて、まずザボンの枝を思い切り剪定した結果、ザボンも柚子も少しづつ実が生りはじめた。そして今、15個のザボンがぶら下がり、一応の成果を見ることができた。
一方台木の柚子は、ザボンの枝の剪定で日当たりがよくなったせいで、やっと6個生った。
今年は更に双方の枝に日が当たるように剪定を試みたので、来年の今頃は、きっと収穫量は双方とも増えるだろう。
今、15個のザボンがぶら下がっている
さて、もう一本のカボスの接ぎ木の成果は、今のところカボスに比べ日向夏が元気がよく、カボスと日向夏はそこそこの収穫ができているが、ザボンはまだ実が生らない。
でも剪定と肥培管理のめどがついたので、多分今年はザボンも加わり、1本の木に3品種の実が生る夢が実現するかも知れない。\(^o^)/
試行錯誤を繰り返しながら、少しづつ私の夢が現実のものになりそうな気配で、楽しみが膨らむ。
ささやかな夢だけれど実現してゆく様は、日頃の生活に変化をもたらしてくれるし、心豊かにしてくれる妙薬でもある。
こんな小さな夢追い人生は、7回目の干支を迎えた今でも、まだまだ続きそうだ。
二兎を追うからには、あらかじめ二兎を仕留める方策を考えなければならないことは言うまでもないことだが、この分かりきったことがややもすると目先の欲につられて、方策をつい見失ってしまうことがある。
でも自分の趣味の範囲にとどめていれば、しまった!でやり直しがきくし、その原因がわかれば次につながる。
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