「今の子供たちは、日本が戦争をしたということがピンとこないようです。」私が語り部として学校を訪れるとき、先生からよく聞かされる言葉である。
先生から戦争のことを教わっていても、子供たちはその戦争というイメージが実感できないということ。
だから実際に体験した人の話やその写真・遺品などを見たり聞いたりすることによって、生徒たちは戦争という概念がより具体的なものとして心に響くのだと思う。「百聞は一見に如かず」
今日、アクロス福岡で開催されている「福岡県戦時資料展」を見た。
会場内には戦争の爪痕を残す遺品や当時の暮らしを伝える品々が展示され、戦争当時の状況が手に取るように実感できる機会であった。
子供ながらに戦争を体験し原爆の被害に遭った私でも、戦争の悲惨さを改めて実感させられるのだから、この種の展示が如何に大切なことであるかを考えさせられる。
展示品の多くは、これまで幾度となく目にしてきたものだったが、中でも17歳で出撃し帰らぬ人になった特攻隊兵士の出撃前の1枚の写真は、戦争の虚しさ・悲惨さそしてここまで国民を追い詰めた当時の軍部・政治家の無謀な戦争責任のすべてを物語っているように思えた。戦争を知らない今の政治家に是非見てほしいものだ。
会場では広島・長崎の原爆被害の実情を編纂したDVD映像を上映していた。
私自身も長崎の被爆者だけど、そのリアルな映像に、つい最後まで見てしまったが、一人の若い女性が身動きもせず、涙を拭きながら見入っている姿が印象的だった。
教科書で戦争のことを学んだだけでは、戦争に関する知識を得ることはできても、その悲惨さや苦しみは体験実話を聞いたり、遺品など実際に目で見てはじめて実感できるものであり、その実感がやがて今の平和のありがたさに繋がることを忘れてはいけない。
戦争や原爆に関するこのような催しは、毎年8月に集中するが、何時でも気軽に足を運んで閲覧できるコーナーの設置が企画できないものだろうか。
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